あわや第三次世界大戦?と緊迫した空気が張り詰めた2020年の年明け。
米国がイランのスレイマニ司令官を殺害したのが直接の原因だと言われてます。
まぁそこに至るまでの経緯は色々と複雑なので今回は触れないで置きますが、
スレイマニ司令官て誰?そもそもイラン革命防衛隊とは何?コッズって美味しいの?てな部分を分かりやすくまとめていきます。
イラン革命防衛隊とは?
イランには2つの軍隊があります。
一つは正規軍である国軍と、もう一つが今回の「革命防衛隊」です。
なぜ2つの軍があるかというと、現在のイラン政権の成り立ちに関わってきているんですね。
物騒な地域だから2つ作ったろ、という軽いノリではありません。
イランの現政権は、1979年のイスラム革命によって樹立したイスラム教シーア派の聖職者が指導する宗教国家です。
それ以前にイランを統治していたのは親米で有名なパーレビ王朝。
この画像は有名なパーレビ王朝時代(1970年代)のイラン。
顔を覆う布(ヒジャブ)が義務付けられている現代のイランとは大違い。女性も肌をあらわに、というかミニスカートよ。
アメリカの手を借りて近代化を進めていました。
結果は、貧富の差や脱イスラム化の不満が募り革命にまで発展することになりますが、イランにこんな時代があったのは驚きですね。
革命を起こし政権を奪取したシーア派は、それまで王政に従っていた国軍を信用していませんでした。昨日まで戦っていた敵ですからね。
そこで作られたのが革命防衛隊です。当然ゴリゴリのイスラム教シーア派。
- 国軍→王朝時代からの軍
- 革命防衛隊→イラン革命後の軍
ちなみに革命防衛隊はイラン国軍とは全く別の独立した軍事組織で、独自の判断で行動しています。
また、国軍とは別に陸海空軍、更に特殊部隊があります。
その特殊部隊がコッズ(コドス)部隊。
コッズ部隊の司令官が、今回アメリカに殺害されたガーセム・ソレイマーニー。
現政権が最も信頼していた軍人です。
革命防衛隊の役割
革命防衛隊には二つの役割があります。
一つは国内ハメネイ体制の維持。反体制デモの鎮圧などですね。
現在、イランのテヘラン市内各地で革命防衛隊に抗議するデモが発生している。イランの人権活動家は、これは自然発生的なデモであり、ソレイマニの葬儀の時のような動員によるものではない、としている。イランの人々の革命防衛隊への不満がここにきて爆発している。https://t.co/JQqJT7ZZit
— 飯山陽『 イスラム2.0』五刷決定、みなさまありがとうございます! (@IiyamaAkari) January 11, 2020
イランでは体制を支持する集会は認められているものの反体制デモは禁止されているので、これから革命防衛隊は大忙しでしょう。
そしてもう一つが国外でのイラン勢力圏の拡大。
コッズ部隊は他国にいるイスラム教シーア派の軍事組織の指導や武器の輸出などの支援をしている言われてます。
他国とは主にシーア派イスラム教徒が存在する中東の国々。
イラクやシリア、そして時の人ゴーンの潜伏先でも話題になったレバノンなどが挙げられますが、まさかの情勢悪化にゴーン氏もびっくりでしょう。
支援を受けた民兵達は、簡単に言うならコッズ部隊の手足となって指示通りに活動をします。シーア派武装組織の海外部隊でしょうか。
コッズはその海外部隊を使ってイラン勢力を拡大しています。
テロ組織に認定されたイラン革命防衛隊
革命防衛隊のコッズと下部組織が行っている勢力拡大とは、周辺諸国側から言わせてもらえばテロ支援、またはテロリストそのもの。
実際にトランプ政権は2019年4月に革命防衛隊を「外国テロ組織」に指定しました。
それまではテロ関与で制裁対象になっていましたが、「外国テロ組織」に国家の軍事組織を指定するのは極めて異例。
米国はソレイマーニーが600人以上のアメリカ人の殺害に関与したと発表しました。
アメリカ人に限らなければ数万人に上ると言われています。
確かにイラン勢力の拡大に多大なる貢献をしたソレイマーニーは政権にとっては英雄でしょうが、一般的にはまぁテロリストと呼んだ方がしっくりくる経歴の持ち主です。
あの政党やあのメディアやあっち主義の人達はここぞとばかりにトランプ叩きのネタにしていますけどね。
イスラム思想研究者の飯山陽さんがツイッターでバッサリと気持ち良く切り落としてるので読んでいるだけで面白いです。

また、彼女の著書「イスラム2.0: SNSが変えた1400年の宗教観」が面白いと話題だそうです。
本屋さんでは売り切れ続出だそうで(見かけたら買うべし)
コメント