台風発生の場所やメカニズムを分かりやすく解説

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2020年9月初旬、特別警報級の台風10号が九州に迫りました。

その規模は1991年に日本を襲った台風19号(通称りんご台風)とも予想され、各県庁は最大級の警戒を呼び掛けました。

結果はご存知の通りなんですが。(良い意味で)予想が外れ、台風10号は勢力を失いながら九州の西側を通り過ぎていきました。

ツイッターでは「みんなが備えたから被害が小さかったんだよ」とかいう綺麗事論がバズってましたが違います。台風の勢力が弱まったのが直接の原因です。

防災対策が役に立った点は否定しませんが、窓に貼りまくった養生テープは全くの無駄。ウォータータンクは子供の玩具になり、大量に作った氷は今も溶け切っていません。

なぜなぜ期のちびっ子達に用意した「台風のメカニズムや豆知識」を披露する機会もありませんでした。

せっかく台風について調べたので、今回は小学生でも理解できる程度の「台風の知識」「防災について」書いていきます。

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台風とは

台風とは「熱帯低気圧」が発達したもの。最大風速が毎秒17メートル以上あれば台風、それ以下であれば熱帯低気圧と呼ばれます。

台風と熱帯低気圧の違いはその”凶暴さ”一点のみということですね。

熱帯低気圧とは熱帯地域で発生した低気圧、ようするに赤道付近で発生した低気圧を指します。

それ以外の場所で発生した低気圧は「温帯低気圧」、または単に「低気圧」と呼ばれます。例えば日本列島付近で発生する低気圧は温帯低気圧です。

熱帯低気圧と台風は密接な関係にありますが、熱帯低気圧と温帯低気圧は生まれ方からして違います。

熱帯低気圧は海から蒸発した大量の水蒸気が上昇して生まれます。この上昇気流から生まれるのが熱帯低気圧(台風のたまご)です。

一方、温帯低気圧は冷たい空気と暖かい空気がつぶかって発達していきます。ですので温暖前線や寒冷前線など「前線」という言葉が出てきたら温帯低気圧のことです。

  • 熱帯低気圧→暖かい空気
  • 温帯低気圧→暖かい空気と冷たい空気

ちなみに温帯低気圧が成長して風速が毎秒17メートル以上になっても台風とは呼びません。

台風が発生する場所

日本にくる台風は「太平洋北西部」もしくは「南シナ海」で生まれた熱帯低気圧です。

台風の発生場所

日本列島より南にある2つの海。

「北西太平洋はグアム島」「南シナ海はフィリピン」など常夏のイメージが強い地域。ようするに熱帯気候ですね。

台風の生まれ方

蒸発する海水

熱帯の海は強い日差しにより海水の温度が高く、蒸発した海水は水蒸気となって暖かい空気と一緒に空へ上っていきます。

水蒸気が空で集まったら雲になり、雲同士が合体して大きくなり、地球の自転が作用して回転し、ぐいぐい成長した低気圧が台風です。

大抵の熱帯低気圧は1日で無くなってしまう出来損ないですが、稀に生き残ったエリートが台風となって北上してきます。

川の水が蒸発して雲になり雨になって川に戻る、という水の循環と根本的には同じ構造なんですがスケールが違います。

台風の強さ(hPa)

出典:日本気象協会

台風情報でよく耳にする「中心気圧は920ヘクトパスカル(hPa)」という言葉は台風の中心の気圧の単位です。

台風は中心気圧と周囲の気圧の差が大きいほど多くの風が流れ込み巨大化する性質を持っていることから、中心気圧が低い方が台風が強い=被害が大きくなると言われています。

また最大風速が毎秒17メートル以上で台風と呼ばれますが、どの位の強さかというと「風に向かって歩けない」「ビニールハウスが壊れ始める」くらいだそうです。

台風の勢力が弱まる・強まる

海水の水蒸気は台風のエネルギー源。進路上にある海水の温度が高いと台風は成長しながら移動します。

夏に台風が多い理由は海水の温度と関係していることが分かりますね。

逆に海水の温度が低くかったり陸地の上を移動するとエネルギー(水蒸気)が補充できないので、台風は勢力を失って消滅します。

勢力が弱まった主な要因として、海面水温の低下が挙げられる。同庁によると、8月の九州近海の海面水温は熱帯並みに高かったが、9号が通過した9月2日頃を境に低下したとみている。「動力源」の水蒸気取り込めず

今回の台風10号の勢力が弱まったのは、数日前に同じ進路を通った台風9号が海水の温度を冷やしたからという見解も発表されました。

台風は右側が強い

台風の中心(台風の目)は晴れ間が見える、というのは有名な話ですが、台風の右側は風が強いという話もあります。

台風は「北半球の位置」と「右向きの風」に影響され、常に左回りに渦巻いています。

そして進行方向が一致して台風の右側は風が強くなるため、台風は右側が危険と言われています。

出典:google

2020年の台風9号と台風10号は九州の左側を通過したので、一番ヤバい進路を通ったことになります。

台風・ハリケーン・サイクロンの違い

日本では台風、アメリカではハリケーン、インドやオーストラリアではサイクロン。

この3つは同じ「風の強い熱帯低気圧」です。

熱帯低気圧の発生場所

熱帯低気圧が活動している海域によって「台風」「ハリケーン」「サイクロン」と名前を使い分けています。

そのためハリケーンが日本に上陸したら「台風」に変わります。

また「最大風速が毎秒17メートル以上で台風」なのは日本の基準であり、世界基準だと秒速33メートルと定義しています。

  • タイフーン:秒速33メートル
  • ハリケーン:秒速33メートル
  • サイクロン:秒速33メートル

台風を英語にした「typhoon(タイフーン)」は、読み方は似ていても風の強さは全く違うゾ☆ということです。

ちなみにサイクロンの渦は右回り。熱帯低気圧はコリオリの力が作用するため、南半球で発生するサイクロンは台風やハリケーンとは逆回りになっています。

台風の名前

2020年の台風10号は「ハイシェン」という名前が付けられています。その前の9号は「メイサーク」でした。

台風は毎年1月1日を始めに最も早く発生した台風を1号として、2号3号と順に番号が付けられています。

そして台風の名前は予め用意された140個のリストから順番に当てられており、2020年の台風11号は「ノウル」、12号は「ドルフィン」と既に決まっています。

台風の番号とアジア名の付け方 | 気象庁
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140個のリストは「台風委員会」に参加している14ヵ国が10個ずつ提案しています。日本は「コイヌ」「ヤギ」「ウサギ」など星座名に由来する名前を付けました。

台風は災害なので特定の人物や企業だけと重なることがないように気を使ったそうです。

地震・雷・火事・親父(台風)

古来より、怖い物を順に並べた「地震・雷・火事・親父」という言葉遊びがありますが、元々は「地震・雷・火事・大山嵐(おおやまじ)」だったと言われています。

地震・雷・火事・台風

これなら納得。台風は時期と経験である程度予測できますからね。

台風のまとめ

災害大国の日本は台風被害も世界トップクラスです。

統計上では世界の台風(ハリケーン・サイクロン含む)のおよそ30%が日本にやってくるとのこと。

2020年の台風10号は途中で勢力を失いましたが、接近に伴いコンビニ最大手のセブンイレブンは九州全県と四国全県(2000店舗以上)が計画休業を発表。

絶対休まないマンの「西鉄バス」

福岡が誇る西鉄バスが9月6日17時からまさかの運休。福岡県民は驚きを隠せません。

学校は臨時休校、もちろん幼稚園も休園。台風10号が上陸する前日は朝からどのお店にも行列ができ、多くの人達が台風上陸に備えました。

我が家も台風上陸に備えました。2019年の台風15号による千葉県の大規模停電を参考にガソリンも満タン。

まぁ全て徒労に終わったんですがね。備えあれば患いなし。大型の台風予報が出たら備えましょう。

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